学問の諦メ - 無限の地平はみな底辺

学問の諦メ

2018.1.1|ライフハック 人生

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結論

 

飴を売れ。

学習適性の無い人間は、学問の絡みにくい職人仕事や反復作業に注力した方が成果が出易い。

そして、それらの生き方を馬鹿にするような風潮を無くすことが快適な社会を構築する秘訣である。

 

 

「学問のすすめ」について

 

「学問のすすめ」を読まない人はほぼ全員「天は人の上に人を造らず! 天は人の下に人を造らず!」と唱えながら世が平等であるべきことを主張する。

だが同書はその著名な冒頭の後、以下の様に続く。

 

『なのに!

どうして世の中には貧富賢愚の差があるのだろうか?

答えは簡単である。

学問をするから重要な仕事をこなす能力が身に着き大商人や医者や官僚が務まるのだ。

それが出来ない奴は飴売りのような下らない仕事しか出来ず貧しい一生を送るのだ!」  (by 諭吉)

 

学問のすすめは、著名な序文の後以上の様に続く。

(日本銀行券の最高額紙幣に福沢諭吉の肖像が採用され続けている由縁である。)

この論旨に関しては、当ブログで繰り返し述べて来たので、あなたも聞き飽きているとは思う。

今回は、その適性の無い人への救済案。

 

「誰もが福沢にはなれないので、学問適性の無い人は福沢が馬鹿にした飴やオコシを売って生き延びて下さい」

 

大体、適塾(幕末の超先端医学私塾・近代日本の偉材を数多輩出した)塾頭の福沢に万人が合わせれる訳がないのだ。

「学問のすすめ」は日本一勉強の出来る人の著書であることを念頭に置いて読まねばならない。

向いてない人までが福沢クラスタに無理に合わせるのは却って反知性的な行動ではないだろうか?

機械的な反復作業への適性が学習適性を上回るなら、そちらにリソースを回す方が経済的と言えなくないだろうか?

 

 

ですが!

学問は鈍臭い人への福祉の一面もあるので反射の鈍重な方は必死で勉強して下さい。

断じて皮肉で言っている訳ではありません。

学問はあなたの為の福祉です!

 

 

 

そもそも人間は大した学習能力を備えていない生物なのかも知れない

 

長らく。

底辺にとって信じ難かったのは、「学問のすすめ」や「文明論の概略」を読まない慶応出身者が存在するということだった。

たまたま電子書籍の話題になった時に

「実は恥ずかしながら、脱亜論の解説書をKindleで出させて頂いたことがありまして…」

と勇気を出して(慶応出身者にこの話を打ち明けるのは本当に度胸が試させる)告白したのに、相手が同書を知らなったということもあった。

あの時の空虚感は今でもトラウマの一つとして胸に残っている。

 

他にも何度か同じ思いをした。

山田顕義卿を知らない日大出身者。

山本覚馬を知らない同志社出身者。

(↑ 敵味方関係とは言え、この二人は文字通り興国に身を捧げた英雄である。 若人が彼らの生き様を学ばずに何を学ぶというのか?)

炎天の中必死で赤旗を配りながらも資本論を一文字も読んだことが無い老共産主義者。

彼らと話す度に、その怠惰に驚愕した。

 

※共産主義者諸君! 頼むからせめて資本論くらいは読んでくれ!

貧困から脱出する方法なんぞ、それこそマルクスが19世紀に発見して公表している。

嘆かわしい事に貧者ほど資本論からそれを学ばず、富者のみがそのテイストを実践している。

社会や御自身の窮乏は、何もかも諸君の怠惰無学が原因なのだぞ!

 

そんな哀しい体験が続き、底辺は底辺なりに悟った。

大抵の人間は勉強や仕事がしたい訳ではなく、それに付随する身分と特権が欲しいだけなのだ。

大半の人間が得意顔で語る『向上心』とは単なる身分欲に過ぎず、己を革命する気概のある者など万に一人も居れば御の字なのだ。

と。

 

人間の行動パターンなど生育環境と遺伝子が決定するのだから、その適性のない者に「学問に励め」と言う方が間違っているのだ。

学習適性を持った人間は禁じられても学び、それを持たない人は強制されても学ばないのだ。

そして、底辺も含めて大抵の人間には学習能力はおろかその資質すらない。

 

学習とは、要するに自動アップデートスキルである。

学習できない人間は、たまたまアップデートスキルを備えずに生まれてきたのだ。

それは単なる不足であって、悪徳でも欠陥でもない。

 

 

学問適性の無い多くの人が救われる方法

 

多くの人間は学習ではなく、反射と反復で生きている。

なので学問適性のない人間は、学問への強迫観念を脇におき、福沢が鼻で笑うような小商いに精を出しては如何であろうか?

 

そもそも、プログラマーの給与よりもラーメン屋の給与の方が高い現状から何事かに気付くべきなのだ。

これは単なる事実だが。

現状、ポスドクより露店の飴売りの方が儲かるしモテる。

不本意な方も多いかとは思うが、需給とはそういうものだ。

 

別にラーメン屋や職人に向上心が無いとは言っていない。

一般的な学問行為とは使っている脳機能が異なるだけの話である。

 

 

ニートギルドの例を挙げる。

居るのだ。

特殊スキルの持ち主がここには。

何と、彼は身体が頑健な上に野良仕事が出来、おまけに野焼きまでこなせるのだ。

かつての農夫なら誰でも出来たことが、ロストテクノロジーとして重宝されている時代なので、彼は喰いっぱぐれがない。

 

別に百姓仕事をせよと言っている訳ではない。

そういうルートも存在する事を念頭に置いて欲しいだけなのだ。

 

底辺は学問より大切なものは存在しないとまで思っている。

(だからこそ、身分泥棒は学習現場から一掃せざるを得ない。)

だが、全く適性がない者が強迫観念に囚われて向かない勉学を己に強いるのはあまりに酷い。

向かない者は「学問の貴重性を胸に刻んだ上で」、学術的な才能と関係の無い分野での熟達を図る方が…

それこそが知的な立ち回り方であろう。

 

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コメント一覧
  • 言われるようなローテクと言われる分野の需要は確かに増してくるとは思います。

    個人的な話になりますが、昨年は靴紐が結べない、包丁を研げない、障子の張り替えがわからない、焚き火が起こせない、極め付けがマッチで火を着けれない、そんな大人が身の回りに実は沢山いたことが、私なりにかなり衝撃的な一年でした。

    その反面、「先生」と呼ばれる仕事の陳腐化が進んでいることが感じることも多くなりましたね。


    2018年1月1日 3:44 PM | nyandan |

  • 私が西洋の宗教画についてのごく平易な考察を述べたとしても、それを聞いて意見を与えてくださる方が右手で数えるほどしかいない、という事実に胸のつっかえを感じます。(私が大卒者なので、必然的に周りにいるのは大卒の身分を持つにも関わらず、という点がより一層これを強調させます)


    私見ですが、周りはおおよそノリや気分で日々を生きている、という認識を強く持ち、そういう方々が欲する物をよく見抜いてからモノやサービスを売る、という思いつきが最近の中でも大きな発見です。
    (そうでなければ、今日日フルローンで一軒家を購入したり、ソシャゲで大量の課金をしたり、学生時代にマルクスやガウスのような偉人が紡いだ叡智を学ぶことなく夜遊びに励むことなどあり得ないでしょう)


    2018年1月1日 4:49 PM | Name * |

  • nyandan様へ

    社会の細分化は増々進むと思うので、ローテクも含めた特殊技能はいっそう価値が高まるでしょう。
    ですので、「そのスキルを保有していること」を効率よく社会に知らしめるものこそが、成功を手にすることでしょう。


    2018年1月1日 6:21 PM | teihen |

  • 4:19様へ

    大抵の人間は反射で生きており。
    そして、それは生物学的には正しいのだと思います。

    その現状を認識した上で、元日からこんな話題で盛り上がっている私達変わり者コンビは、何とか世界を乗り切って行きましょう。


    2018年1月1日 6:25 PM | teihen |

  • 底辺様
    新年早々、記事をありがとうございます。「学問の貴重性を胸に刻んだ上で」、頑張っていこうと思います。
    今年もよろしくお願いいたします。


    2018年1月1日 7:40 PM | やす |

  • やす様へ

    新年早々辛気臭い記事を書いてしまい恐縮です。
    今年も素晴らしい一年にしていきましょう!


    2018年1月1日 9:01 PM | teihen |

  • 明けまして、おめでとうございます。
    私も10代の終わり頃、中二病のために資本論を持っていた事があるのですが、読書の習慣がなく、理解もできなかったため、結局読みませんでした。
    あれから10年以上たち、小商いで悩んだ時に、沢山の本を読んだのですが、その中でも資本論は内容がとても実用的で、よく覚えています。
    私は怠惰な側なのですが、ひょっとして生き物はその時点で必要がない学習はできないんじゃないのかな…なんて思いました。


    2018年1月2日 3:34 AM | しげる |

  • しげる様へ

    あなたは怠惰ではありません。
    将来、必要となる学習素材を若い頃から準備していた勤勉な方なのです。

    膨れた腹で食事を採るのは困難ですが、高度な動物はそれを貯蔵します。
    10代のあなたが勤勉に貯蔵していた食料が、現在のあなたの栄養分となっているのです。
    どうか胸を張って下さい。

    そして共に10年後の餌を貯え始ましょう。


    2018年1月2日 9:08 AM | teihen |

  • 遅れましたが明けましておめでとうございます。

    学問は福祉であり娯楽であり実益です。
    義務教育は「受けさせる権利」であり
    その他は誰も強要しておりません。側から見たら勝手にやってる趣味です。
    もちろん活かせれば収益稼得の根拠たり得るわけですが……

    昨年一昨年辺りから私以外の方々で小商の流れがきているような実感があります。
    今年はそんな歳なのでしょう。


    2018年1月2日 2:25 PM | 1000$ |

  • 1000$様へ

    あけましておめでとうございます。
    きっと、あなたにも小商いの流れは来ます。
    ですので、有為の人材との交流だけは常に怠らないようにして下さい。


    2018年1月2日 4:15 PM | teihen |

  • 明けまして
    おめでとう
    ございます。
    今年もよろしく
    お願いします!

    私は学問に適性があった
    のかもしれませんが、
    人生のアクシデントにより
    学歴をつけられませんでした。

    しかしながら、その時の
    意地でしょうか。10年以上
    ほぼ毎日何かを読み書きする
    習慣は付きました。

    勉強や読書によるインプット
    は意外と皆さん継続できなくて
    悩まれているようですね。


    頭脳戦に行くか、小商いルート
    へ行くかわからず、何となく
    食えていて、生きてますが、
    二つの境界線の上に立つような
    生き方や立ち位置もあり
    なのかもしれないと思う
    今日この頃です。


    2018年1月4日 8:23 PM | 53∞ |

  • 53∞様へ

    あけましておめでとうございます

    全ての人間には何らかの傾斜・偏重があります。
    (全くの能力偏重の無い人間が存在したとすれば、それこそ一種の超人だと思います)
    ですので、お互いこれからも己の偏りを上手くマネタイズしていきましょう。

    快適な一年にしたいものですね。


    2018年1月4日 9:12 PM | teihen |

  • 新年一発目恒例の今年はもう何%過ぎました後はこれしか残ってません系エントリを楽しみにしていたのですがそれは次回ですかね?


    2018年1月5日 9:22 AM | Name * |

  • 9:22様へ

    あなたの書き込みが証明して下さっている様に、%思考は読者の方にはそれなりに行き渡ったと思いますので
    今年はその話題を持ち出しませんでした。
    私が提供したいのは新しい発想や手法なのです。

    2018年も残すところ僅かに360日となりましたが、最後まで手を抜かずに新境地を開拓し続けたいと思います。


    2018年1月6日 8:05 AM | teihen |

  • 三が日に長蛇の列を成して神社に参拝している人々の殆どは記紀を読んでないでしょうし、聖書を大して読んでないキリスト教圏の人間や仏典の一冊も読まずに仏教は癒しだの安らぎだのと宣う人間はザラにいますよね。
    世間一般の人間の「知識」なるものは自発的な学習などではなく何となくのイメージや外部からの啓蒙に依っているものが殆どなんだなぁと感じます。

    今回の記事に沿った線で個人的に空虚感を覚える事と言えば、国会図書館に行くと毎回漫画(それもメジャーな作品)を読む人がそれなりにいる事です。
    もしかしたら漫喫代わりに利用している等の事情があるのかもしれませんが、それにしても現代日本のアレクサンドリア図書館のような場所でわざわざ「ドラゴンボール」や「ワンピース」を読んでるような人を見ると正直猫に小判の感が否めません(笑)

    底辺氏が仰られている通りいくら学習の為の豊富なリソースや貴重な機会を割り当てられても人は素質や意欲が(更に言えば必要性が)ない限り勉強しないものであり、
    しかも読書(小説等ではなく実用的なノンフィクション本)を習慣化している層というのは実は昔から極少数であり、他人より多少古典を読んでいるというだけでも案外知的アドバンテージは容易に確保出来るという事を最近実感し始めました。
    読書という行為はコンテンツから得られる滋養分もさる事ながら「世の中の人間が知らないライフハック情報を自分だけが特別に教えてもらっている」という感覚自体が健康に良いのかもしれません。


    2018年1月7日 8:48 AM | pq |

  • pq様へ


    人類総体の中でも学習意欲や適性のある人は稀な存在であり、私も含めて殆どの人間に向学心はないのでしょう。
    ただ、好学志向は国益に繋がるので、我々の様な「学問尊重クラスタ」は頑張って裕福になりましょう。
    好学=富裕と云う構図を多くの人に知らしめれば、次代の勝率が上がります。

    共に獲得しましょう。


    2018年1月7日 6:27 PM | teihen |

  • 大抵の女性は結婚そのものがしたい訳ではなく、それに付随する身分と特権が欲しいだけなのだ。

    大抵の公務員は公僕として働きたい訳ではなく、それに付随する身分と特権が欲しいだけなのだ。


    2018年1月10日 1:17 AM | Name * |

  • 1:17様へ

    きっと仰る通りなのでしょう。
    私は良貨が悪貨と峻別されることを強く願い、ただ誠実な天秤を目指します。


    2018年1月10日 9:53 AM | teihen |

  • 年を取ると情報のフィルタリング能力が強固になってしまう。
    脳が勝手に「俺にとって重要な情報か?」「俺にとってどうでもいい情報か?」に振り分けて、脳への負荷を最小限にするため「俺にとってどうでもいい情報」を私の意志とは無関係に勝手に消してしまうのだ。
    最近では買物するにもメモを取らないといけない有様である。これは私の脳が非常に優秀だからなのだが、他人からは馬鹿に見えてしまうだろう。一般的にはこれは加齢によって学習能力が低下したと言われる現象であるが、「俺にとって重要な情報」と判断されたものに関しては学習能力は上がっていると感じている。なんというか抽象的な思考能力が向上したとか、自分の持っている他の情報とリンクさせてより広い枠組みで物事をより深く考えられるようになったとか、若いころよりもそういった能力は上がっていると感じるのである。

    この脳のフィルタリング能力も一種の反射と言えるのではないだろうか?
    記事では反射と反復で生きていることをレベルの低いことというニュアンスで書いているが、だが例えば自転車なら頭で考えてバランスを取って乗るよりも、反射と反復で乗った方が遥かに効率が良い。
    頭を使って結果を出そうとするポスドクよりも反射と反復で結果を出す飴売りの方が生産効率は遥かに上なのである。そういう意味では反射と反復も馬鹿にしたものではないのだ。

    件の慶応生も脳の情報フィルターにより「福沢諭吉」→「俺にとってどうでもいい情報」となってしまったのではないだろうか?
    脳のフィルタリング能力はそれまでの経験の積み重ねで形成されるので、もしかしたらお受験教育の弊害かもしれない。
    またこの慶応生は慶応生の身分が欲しくて慶応受けたんだろうけど、それが悪いことだとも思わない。学習するのは何かをなす為の手段であって学習自体が目的ではないから。大企業だって単純に利益のために努力してる。それの何が悪いのか。何らかのメリットを得たいがために努力することが悪いとは思わない。学問のすすめでも福沢諭吉も学問が目的とは言っていないし、「お前が豊かじゃないのは学問してないからだ。だから学問をするべき」と学問が豊かになるための手段であると言う感じで書いていたと思う。

    まぁ、知識欲を満たす為に学問するというのもあるけど、高度過ぎて他人には理解されないので、そういう人は「俺こんなに向上心あるんです(もっと俺を褒めてください!)」と他人にアピールはしないだろう。

    だから個人的にはそんなに叩かなくても・・・と思うのだが、底辺氏は実際に会ってその時の態度や雰囲気から思うところがあったのかもしれない。

    ちなみに学問のすすめは昔読んだのだが、「お前が豊かじゃないのは学問してないからだ。だから学問をするべき」以上の内容は何が書いてあったか欠落してしまっている。多分当時の情報フィルターで「俺にとって重要な情報」に振り分けれた情報がなかったのだろう。今読んだら少しは違うかもしれない。

    資本論もネットではしりだけ読んだが、商品に価値が宿ると言う表現に凄く違和感があった。価値を生み出すのは人間の心理であって物財自体に価値が宿るわけではない。現在紙に数字書いただけの紙幣が通用してる事実がこのことを完全に証明してしまっている。書いている内容に間違いを見つけてしまったので私の脳は「これ以上の労力をかけて読む必要はない。底辺氏のブログの方が遥かに有益だ。」と判断してしまった。


    2018年1月11日 6:17 AM | 多那 |

  • 多那様へ

    そうなんですよね。
    「産業時代が終わって知的賃金労働者が値崩れした今、反射反復自営オッサンの方が有利なのではないか?」
    と感じるケースを多々見かけたのが、この記事の執筆動機の一つではあります。


    底辺ブログは有益ではないのですが稀少です。
    個々にオリジナリティが求められる現在、稀少知見・体験をどれだけストックしているかが各々の命運を分けますので
    お互い稀少を拾い集めて行きましょう。


    2018年1月11日 8:40 AM | teihen |

  • >底辺ブログは有益ではないのですが稀少です。

    そんなことないですよ。有益ですよ。


    2018年1月11日 9:47 AM | 多那 |

  • 多那様へ

    お言葉、非常に励みになります。
    今後もそう言って頂けるよう精進致します。


    2018年1月11日 1:15 PM | teihen |

  • 上の伊佐のコメントは誤送信です。すみません。


    2019年3月6日 6:47 PM | 桃山伊佐 |

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